蒸留水と純水のちがいとは?

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水のなかの不純物や成分を取り除く技術は古くからさまざまに研究されてきましたが、その中でも「蒸留水」と「純水」は聞き慣れた言葉ではないでしょうか。どちらも“水を極力きれいにしたもの”を指しますが、実は似ているようで微妙に異なる意味合いを持っています。ここでは、それぞれがどのように作られ、どんな特徴があり、どんな使われ方をするのかを分かりやすく解説します。

1. 蒸留水と純水の基本的な位置づけ

1-1. そもそも「不純物」とは何を指すのか

日常生活で使用している水道水や市販のミネラルウォーターには、水以外の成分が少なからず含まれています。たとえば、カルシウムやマグネシウムといったミネラル分のほか、地域によっては殺菌目的の塩素なども含まれることがあります。このように「水以外の成分が混ざっている状態」の水を、不純物がある水と呼ぶことができます。

1-2. 水をきれいにする多彩な技術

水を浄化する技術は複数存在し、たとえば「蒸留」や「イオン交換」、さらには「逆浸透(RO)」などが代表的です。これらの方法によって水中の不純物を限りなく取り除いていくと、非常に高い純度を持つ水が得られます。この高純度の水を総称して“純水”と呼び、その中でも特定の製法を用いて得た水を“蒸留水”と位置づけるのが一般的です。

1-3. 蒸留水と純水のざっくりした違い

  • 蒸留水: 蒸留と呼ばれる手法で作られた水。
  • 純水: 上記の蒸留も含めて、あらゆる方法で不純物を徹底的に除去した高純度の水全般。

つまり、蒸留によって得られた純度の高い水こそが「蒸留水」であり、蒸留水を含むあらゆる“ほぼ水だけ”の状態を「純水」と呼ぶことができます。したがって、蒸留水は純水の一種という位置づけになるわけです。

2. 蒸留水とは何か?:その製法と特徴

2-1. 蒸留という技術

「蒸留」は、液体が持つ沸点のちがいを利用して成分を分離する方法です。具体的には、一定の温度で加熱して蒸発させる際に軽やかに気体化しやすい物質だけを集め、その後冷やして再び液体に戻すことで不純物を取り除きます。水道水やミネラルウォーターに含まれる不要な成分は、多くの場合、水よりも蒸発しにくい、あるいは別の温度帯で気化しやすい特徴を持っています。そのため蒸留を経ると、よりクリアな形の水が得られるのです。

2-2. 蒸留器によるプロセスのイメージ

多くの実験装置や研究施設で使われる“蒸留器”は、加熱装置と冷却装置が一体となった構造をしています。たとえばフラスコに水道水を入れ、沸点に達するまで加熱して水蒸気を発生させ、その気体を冷却管で凝縮する方法が代表的です。得られる液体は、多くの不純物が置き去りにされた、純度の高い状態の水になります。

2-3. 蒸留水の用途とメリット

  • 研究・実験: 化学実験や精密機器の洗浄など、汚染源をできるだけ減らしたい場面で活躍します。
  • 医療現場: 医療機器の洗浄や希釈液として使用するときは、蒸留水を選ぶことが多いです。
  • 家庭用アイロン: 家庭用アイロンのタンクに蒸留水を入れることで、カルシウムなどのミネラル分が原因となる水垢や詰まりを軽減できます。

蒸留水は、加熱・冷却のプロセスを通して比較的わかりやすい仕組みで生成されるため、個人レベルでも小型の装置があれば制作可能です。ただし、エネルギーコストがかかるのと、蒸留中の温度管理が手間である点は注意が必要といえます。

3. 純水とはどんなもの?:多様な製法と用途

3-1. 純度の高い水の定義

「純水」とは、水分子(H₂O)以外の成分が極力排除された水全般を指します。ミネラルや微量の金属イオン、さらには有機物なども含め、あらゆる不純物を最小限にまで抑えたものです。日常で口にする水には必ずと言っていいほど何らかの成分が溶け込んでいますが、純水はそれらを意図的に除去した状態を意味します。

3-2. 蒸留以外の純水生成方法

前述のように、純水というのは特定の製法で限定されるものではありません。例えば以下のような方法が知られています。

  1. RO膜(逆浸透膜)を利用する方法
    高分子膜を通して水をろ過し、溶け込んだイオンや大きな分子を除去する手法。海水淡水化プラントなどでも用いられます。
  2. イオン交換樹脂を利用する方法
    イオン交換樹脂を通すことで、水中のイオン(カルシウム・ナトリウムなど)を置き換えて取り除く手法。実験室や産業施設でよく使われる技術です。
  3. 電気透析などの電気化学的手法
    電位差を利用してイオンを分離する技術。高精度の純水が得られやすい反面、装置の導入コストは高めです。

これらの方法で生成された高純度の水はすべて“純水”に分類されます。つまり蒸留によらずとも、上記のような技術を使えば同様に不純物を除去できるわけです。

3-3. 純水の使いどころ

純水は不純物が限りなく少ないため、化学分析やバイオ研究、また精密機械の製造工程など、幅広い分野で必要とされます。酸素を含め、さまざまな物質と結びつきにくい性質を持つため、水質に影響される実験結果を安定化するのに大きく貢献します。ただし、飲用に関しては味やミネラル分が極端に薄いこと、細胞に与える影響などを考慮して必ずしも適しているとは言いきれません。

4. 両者の関係:蒸留水は純水に含まれるのか?

4-1. 蒸留水は純水の「一形態」

結論として、蒸留水は蒸留法で作られた純水を指します。つまり、「不純物を取り除いて水だけに近づける方法」の一つが蒸留法であり、そこで得られる高純度の水を蒸留水と呼ぶのです。そしてその蒸留水自体も“純水”の一部。蒸留が手段の名前であるのに対し、純水は結果として得られる水の“性質”を表していると考えると理解しやすいでしょう。

4-2. 蒸留水以外の純水とのちがい

先述のとおり、純水と呼ぶ水の中にはRO水や脱イオン水などの種類もあります。これらは蒸留を経ずとも、別の方法で不純物を除去しているため、化学的性質に大きな差はありません。
一方で、蒸留によって得られる水とROろ過などによる水とでは、除去できる物質や残留率にわずかなちがいが出る場合もあります。最終的にはどの程度の“純度”を求めるかによって、どの製法を使うかが決まることが多いです。

4-3. “蒸留だけが純水”という誤解

蒸留水を作る過程が非常にわかりやすいため、「純水=蒸留水」というイメージを持つ人も少なくありません。ですが、純水はあくまでも不純物がほぼ取り除かれた状態を示す総称であり、蒸留はその一手法にすぎないのです。蒸留以外にもさまざまな浄化技術が存在するため、むしろ現代の大型施設や工業プラントでは、逆浸透やイオン交換を組み合わせたシステムを使うケースが増えています。

5. まとめ:それぞれを正しく理解して使うために

  1. 蒸留水とは
    • 蒸留という工程を通して得られた水。
    • 沸点の差を利用し、水と他成分を分離する。
    • 多くの場合、実験や医療での使用、家庭のアイロンなどに活用される。
  2. 純水とは
    • どんな手段であっても、不純物を可能な限り除去し水分子に近づけたもの。
    • 蒸留水やRO水、脱イオン水などの種類が含まれる。
    • 産業分野や研究、医療など、多岐にわたる場面で利用される。
  3. 最終的なちがい
    • 蒸留水は「作り方」に基づく名称。
    • 純水は「水自体の状態」を表すカテゴリー。
    • よって、蒸留水は純水の一種として理解できる。

蒸留水と純水のちがいは、「蒸留」という特定の方法で得たか、それとも別の方法も含めてとにかく“純度の高い水”を指しているかという点に集約できます。すなわち、蒸留水を含むさまざまなプロセスで作られる高純度の水が「純水」と総称されるのです。多くの場面では、それほど厳密に区別せずに扱われることもありますが、科学や工業の分野など高精度が求められる世界では、どの製法を採用しているかが大きく影響する場合もあるので、注意して使い分ける必要があるでしょう。

一見すると「同じようなものでは?」と思われがちな蒸留水と純水ですが、それぞれの定義を正しく押さえておくことで、使うべき水を適切に選択できます。蒸留水で十分な場面と、逆浸透やイオン交換を組み合わせた純水が要求される場面とでは、目的が異なるからです。みなさんも、必要に応じて最適な水を利用してみてはいかがでしょうか。

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